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有機化学2018.06.08

PhotoRedOx Box 光化学反応装置

PhotoRedOx Box_光化学反応装置
様々な光酸化還元反応を簡単に再現性良く実施できるよう設計された光科学研究用反応装置

PhotoRedOx Setup

近年、光化学に対する関心が急速に高まってきており、可視光レドックス触媒を使うアプリケーションが 数多く発見されています。これらの触媒を用いた反応は、研究者が使用する様々な基質に対応することができます。

しかしながら光酸化還元反応では、未だ基準が確立されていない光源(青色光)や反応装置の使用が必要となります。 多くの研究者は独自に用意した反応装置で文献の方法を試みていますが、再現性を得ることが出来ていません。 結果として、光酸化還元反応への取り組みは遅れており、新しく取り組む研究者もほとんどいません。 そのため、光化学反応装置が簡易で堅牢であることが重要になってきています。

EvoluChem™ PhotoRedOx Box

EvoluChem™ PhotoRedOx Box は、研究者が様々な光酸化還元反応を簡単に再現性良く 実施できるように設計されています。PhotoRedox Box は全てのサンプルに均一な光を届けることができるため、 一貫した反応再現性を実現できます。また、冷却ファンの働きにより長時間の 反応中も装置内部を室温に 近い温度に保つことができます。装置は一般的なスターラーに対応し、一定に攪拌することもできます。 サンプルホルダーは0.3ml から20ml のバイアルに対応しています。

ユニークなデザイン

PhotoRedOx Box 内の鏡はユニークな位置に配置されており、光源が発する熱を制御しながら、 多数のサンプルに対して同時に光を照射することができます。結果的に、一般的なスターラー で使用できる程のコンパクト化と反応の効率化を実現することができました。 ランプアダプターは取り外し可能なため様々な波長の光源に交換することができます。

images-1 専用ランプ、EvoluChem™ LED 18W をご用意しています。
詳細はこちらをご参照ください。
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いろいろなバイアルサイズに対応

PhotoRedox Box は反応のスケールや数に応じて、下記のようなあらゆるタイプのバイアルに 対応することができます。

  • 0.3ml crimped vials (6 x 32mm)
  • 2ml HPLC vials (12 x 32mm)
  • 1DRAM (15 x 45mm)
  • Microwave vial 2-5mL (17 x 83mm)
  • 2DRAM (17 x 60mm)
  • 20ml scintillation vials (28 x 61mm)

そのため、反応のスクリーニングからスケールアップまでの作業を短期間で一貫して行うこ とができ、光源からのサンプルの距離を推考する時間も省略できます。例えば、0.3ml のバイ アルを使用した場合、様々な条件で32 種類もの反応を同時に行うことができますし、20ml のバイアルを使用した場合は、2つのバイアルに同時に同条件の反応を行うことで再現性を確 認することが出来ます。

PhotoRedOxBox
PhotoRedOxBox
HCK1006-01-016
Available Holders
32 X 0.3 ml vials (HCK1006-01-017) 8 X 2 ml vials (HCK1006-01-018) 8 X 4 ml vials (HCK1006-01-019) 8 X 8 ml vials (HCK1006-01-020) 2 X 20 ml vials (HCK1006-01-021)

再現性について

Hepatochem 社では、photomethylation kit と PhotoRedOx Box を用いて、反応の再現性を確認しております。 まず、16 個の 0.3ml バイアルサンプルホルダー(HCK1006-01-017) を用いてブスピロン(buspirone)の光メチル化によるテスト反応を行ったところ、その変換率は、平均で 53%(+/-2%)でした(下図をご参照ください)。 同様のテスト反応を再度行ったところ、変換率は平均で 56%(+/-2%)という再現性のある結果を得ることが出来ました。
Percentage of mono-methylation product by reaction vial position
反応条件
Ir(dF-CF3-ppy)2(dtbpy)[PF6] (0.1 μmol) と tert-butylperacetate solution (12.5 μ mol) 、撹拌子が予め不活性雰囲気下で各バイアルに加えられています。まず、各バイアルに buspirone 0.05 M trifluoroacetic acid/acetonitrile(1:1) 溶液を 50μl 加え、窒素ガスによりバブリング ( スパージング ) しました。次に、反応混合溶液に対して PhotoRedOx Box と Kessil 34 W blue LED を用いて 18 時間の照射を行いました。

Ir/Ni の可視光レドックス触媒作用の探索

Ir/Ni visible-light photoredox catalysis exploration

光化学反応を用いた多くのクロスカップリング反応が行われてきました。ほとんどの場合、触媒サイクルを穏やかに活性化させるために、リガンドや塩基の存在下で Ir(dF-CF3-ppy)2 (dtbpy)[PF6] のようなイリジウム光化学触媒が用いられています。文献では様々な試薬を使った多くの反応条件も報告されています。以下に文献から引用し、Hepatochem 社がPhotoRedOx box を用いて改良した反応例を詳述します

反応条件のスクリーニング

Screening reaction conditions

反応条件スクリーニングに使用する触媒や試薬、基質の量を少なくするために反応条件を以 下の通り設定しています。 基質(5μmol) に対して、Ni-dtbbpy(0.5μmol) と塩基(3 equiv.) の混合物とIr触媒(0.1μ mol) を加え、任意の溶媒100μl で反応溶液を調整します。この溶液を、事前に不活性雰囲気 下にした撹拌子入りのバイアルに加えます。

脱炭酸反応によるC-C カップリング

C-C coupling through decarboxylation
アミノ酸や活性化したカルボン酸とハロゲン化アリールによる脱炭酸を伴ったsp3-sp2 クロ スカップリングは新しい有機化合物を合成する強力なツールです。
上記の反応では、Ir 触媒/Ni リガンドと塩基および溶媒を正しく組み合わせることが重要でし た。Hepatochem 社は前述の反応条件(100μlスケール) で基質Boc-Val と 4-bromoacetophenone によるクロスカップリング反応を行いました。その結果、変換率は塩 基に左右されることがわかりました。具体的には、Cs2CO3 やK3PO4 を用いると反応が進行 しましたが、DABCO やDBU を用いた条件では反応が進行しませんでした。

セカンダリーアミンによるC-N カップリング

C-N coupling with secondary amines
ハロゲン化アリールと第2 級脂肪族アミンにIr/Ni 酸化還元触媒を作用させることで、クロス カップリング反応させることが出来ます。

脱炭酸によるsp3-sp2 クロスカップリングのケースと同じように、このC-N クロスカップ リングも、Ir 触媒/Ni リガンド、塩基、溶剤の正しい組み合わせが重要でした。 例えば基質 Pyrolidine と4-bromoacetophenone 間のクロスカップリング反応は(下記参照)使用される 塩基に大きく左右されています。このケースだと、Cs2CO3 やK3PO4、DBU では反応が進み ませんでしたが、DABCO を用いると反応が進行しました。

芳香族アミンを使用したC-N カップリング

C-N coupling with aromatic amines
ハロゲン化アリールと芳香族アミンにIr/Ni 酸化還元触媒を作用させることで、クロスカップ リング反応させることが出来ます。
第二級芳香族アミンを使用したC-N カップリング

第二級芳香族アミンを使用したC-N カップリング

C-N coupling with secondary and aromatic amines
Indoline を基質とした反応では、K3PO4 の使用で反応が促進されました。

結果の概要

Results summary
適切な反応条件(5 μmol per reaction /100 μL scale) を見つけ出すためには、塩基と溶媒を正 しく選択することが重要です。

選択された条件で20 倍のスケールアップ

Screen Reaction 20x Scale-up
スクリーニングによって特定された反応条件を用いて、そのままスケールアップに移行する ことが出来ます。例えば、Boc-Val と4-bromoacetophenone の脱炭酸によるsp-3-sp2 クロ スカップリングは、90%の変換率を維持しながら5μmol から100μmol へのスケールアッ プに成功しています。
実験項:攪拌子(2X7mm) の入ったテフロンセプタム付の4ml バイアルに、NiCl2-dme (2.2 mg, 10 μmol, 0.1 mol %), dtbbpy (2.68 mg, 10 μmol, 0.1 mol %), Ir(dF-CF3-ppy)2(dtbpy) (2.24 mg, 2 μmol, 0.02 mol %), and Cs2CO3 (97.8 mg, 300 μmol, 3 equiv.) を秤量して加えました。 そこへBoc-Val-OH (10.85 mg, 100 μmol, 1 equiv.) 、4-bromoacetophenone (9.95 mg, 100 μmol, 1 equiv.) のDMF 溶液2.0ml を加えました。この溶液を窒素ガスにより5 分間バブリン グ( スパージング) し、PhotoRedOxBox に設置、Blue Kessil LED で24 時間光を照射しました。 反応の追跡にはLC-MS を使用しました。24 時間後の変換率は90%以上でしたが、48 時間の 時点では追加生成物は認められませんでした。

Iridium/Nickel Photoredox Kits

光化学反応のスクリーニングを容易にするために一般的なイリジウム、ニッケル、リガンド と塩基を組み合わせたキットをEvoluChem シリーズとして販売しています。

Ir/Ni base and solvent screen kit: HCK1009-01-002
キットには8 種類の塩基とIr触媒(Ir(dF-CF3-ppy)2(dtbbpy)[PF6] )及びNi リガンド (dtbbpy) が含まれています。反応条件のスクリーニング用として設計されていて、使用する 基質に対して最適な塩基を迅速に見つけ出すことができます。


Ir/Ni base and ligand screen kits:HCK1009-01-003/ HCK1009-01-004
Ir触媒(Ir(dF-CF3-ppy)2(dtbbpy)[PF6].)及び、6 種類の塩基と4 種類のNi リガンドの組み 合わせ(24 通り)をスクリーニングできるよう設計されています。複雑な基質にお勧めです。
Ir/Ni base and Ir catalyst screen kit: HCK1009-01-005
Ni リガンドを使って、3 種類の塩基と6 種類のIr 触媒の組み合わせ(18 通り)をスクリーニ ングできるように設計されています。複雑な基質に適しています。


PhotoRedOx Flow Reactor

一般的に光化学反応におけるスケールアップでは、大きな反応容器を用いると反応混合物へ の光の透過率が低くなる(数mm)という制限があります。反応時間の短縮には反応容器の 表面積が鍵となります。この課題解決のためHepatochem 社はPhotoRedOx Box で使用可能 なフローリアクターを考案しました。反応をフローで行うことで表面積を著しく増大させる ことができ、反応時間の短縮とスケールアップのための連続的な反応も可能になります。 フローリアクターにはPFA チューブが使用されており、その容量は2ml です。フローと バッチの結果を比較すると、フローの方が反応時間を著しく短縮することができました。
PhotoRedOx Flow Reactor
PhotoRedOx Flow Reactor (2 ml)
HCK1006-01-022

Flow reaction validation reaction 1

反応プロトコル

テフロンセプタム付の4ml バイアルにNiCl2-dme (1.1 mg, 5 μmol, 0.05 mol %), dtbbpy (1.3 mg, 5 μmol, 0.05 mol %), 1ml メタノール( 脱水) を加え、オービタルシェーカーで完全に溶 解させた後、その溶液を室温で乾固させました。そこへ、Ir(dF-CF3-ppy)2(dtbpy) (1.1 mg, 1 μmol, 0.05 mol %), と4-bromoacetophenone (9.95 mg, 100 μmol, 1 equiv.) を加えました。 次に1ml アセトニトリル( 脱水) を加え、その後 Et3N (21 μmol, 300 μmol, 3 equiv.) と aniline (4.65 mg, 100 μmol, 1 equiv.) を加えました。この溶液を窒素ガスにより5 分間バブリ ング( スパージング) しました。

100μl溶液の複数のバッチをblue Kessil LED 付EvoluChem PhotoRedOx に設置し、インジェ クター(Gilson) を用いてフローリアクターに注入しました。HPLC ポンプを使用して滞留時 間が、5 分、10 分、15 分、20 分、30 分になるよう、それぞれ異なる流速で反応溶液を循環 させました。反応終了後、LC-MSによりbromoacetophenoneと生成物の比率を確認しました。


Flow reactor validation reaction 2

反応プロトコル

テフロンセプタム付きの4ml バイアルにNiCl2-dme (1.1 mg, 5 μmol, 0.1 mol %)、 dtbbpy (1.3 mg, 5 μmol, 0.1 mol %), 1ml メタノール( 脱水) を加え、オービタルシェーカーで完全に 溶解させた後、その溶液を室温で乾固させました。そこへ、Ir(dF-CF3-ppy)2(dtbpy) (1.1 mg, 1 μmol, 0.1 mol %) と 4-bromoacetophenone (4.98 mg, 50 μmol, 1 equiv.) を加えました。 次に1ml アセトニトリル( 脱水) を加え、その後2,6 lutidine (17.5 μmol, 150 μmol, 3 equiv.) とpotassium benzyltrifluoroborate (9.90 mg, 50 μmol, 1 equiv.) を加えました。この 溶液を窒素ガスにより5 分間バブリング( スパージング) しました。

100μl溶液の複数のバッチをblue Kessil LED 付EvoluChem PhotoRedOx に設置し、インジェ クター(Gilson) を用いてフローリアクターに注入しました。HPLC ポンプを使用して滞留時 間が30 分になるように設定し、反応溶液を循環させました。反応終了後、LC-MS により bromoacetophenone と生成物の比率を確認しました。

EvoluChem™ LED 18W

General Specifications
Power Consumption 18W Max
Input Voltage 100-240 VAC
Beam Angle 25°
Wavelength Options 455 mm, 475 nm,
525 nm, 6200K white
Socket E26 or E27
LED Cree XPE (9X)

EvoluChem vs Kessil

実験項:攪拌子(2X7mm) の入ったテフロンセプタム付の4ml バイアルに、4-bromoacetophenone(4.95mg, 25 μmol) とpotassium benzyltrifluoro  borate (4.50 mg, 25 μmol, 1 equiv.) を秤量して加えました。そこへNiCl2-dme (1.1 mg, 5 μmol, 0.1 mol%), dtbbpy (1.3 mg, 5 μmol, 0.1 mol %), 及びIr(dF-CF3-ppy)2(dtbpy) (1.12 mg, 1 μmol, 0.02 mol %)のDMA 溶液1.0ml を加えた後、更に2,6-lutidine(17.5 μl, 150 μmol, 6 equiv.) を加えました。 この溶液を窒素ガスにより5 分間バブリング( スパージング) し、PhotoRedOxBox に設置、Blue KessilLED、及びEvoluChem Royal Blue LED 18W で光を照射しました。反応の経緯は、0, 5, 15, 45, 120, 240,360 分でモニターしました。
  P205-18-1 P206-18-1 P201-18-2 P202-18-1 P203-18-1 P204-18-1
LED LG LG CREE XPE CREE XPE CREE XPE CREE XTE
Wavelength 365 nm 405 nm 450-455 nm 475-480 nm 525-530 nm Cold White 6200K
Part Number HCK1012-01-011 HCK1012-01-010 HCK1012-01-002 HCK1012-01-003 HCK1012-01-004 HCK1012-01-005

HepatoChem

100 Cummings Center, Suite 424J Beverly, MA 01915

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